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【不動産投資におけるキャッシュフローについて考えてみた その1】 [不動産投資]


〔03〕
不動産投資におけるキャッシュフローについて考えてみた その1


電卓と書類とペン


不動産投資におけるキャッシュフローという魔法のキーワード

不動産投資を始めるにあたっていろいろな指南本を読んでみましたが、「キャッシュフロー」というキーワードが良く出てきます。

まるでそのワードを入れると本の売れ行きが良くなるが如く…

私は税理士試験の受験科目「財務諸表論」で、『キャッシュフロー計算書』の作成を嫌と言うほどやりましたので、キャッシュフローという言葉を聞くと真っ先に「キャッシュフロー計算書」を思い浮かべますが、投資などで語られるときはキャッシュフロー計算書よりはもう少し端的にキャッシュの流れについて語られます。

副業として不動産投資を始めた方の多くが影響を受けたと言われる、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん貧乏父さん』ではキャッシュフローの重要性を説き、その後の不動産投資において重要なキーワードとなった感があるようです。

キャピタルゲインをメインにする株式投資などと異なりバブルがはじけた現在の日本の不動産投資はどちらかというとインカムゲインを重視したものが話題の中心になっています。

不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると、株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。

その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。


キャッシュフローの重要性

企業の運営においては「黒字倒産」という言葉がある通り、仮にある一定期間の利益が順調に推移していても資金が枯渇することにより事業運営に行き詰まることがあるということから資金の現状把握を将来の予測をしながら資金を回していくことが重要です。

不動産投資においても倒産するかどうかは別にしても『投資の良しあし』を判断する上で『日々のキャッシュフロー』がマイナスにならないこと、この点を重視するケースはとても多いです。

特にローンによる資金調達で不動産を購入する投資においては、日々のキャッシュが回らないケースも多いのでこの点を強調している指南本も多いです。


投資家予備軍の夢の始まり

ロバート・キヨサキ氏の指南本が読まれるようになって以降、フルローンなどで不動産を購入する、いわゆる『ハイレバレッジ』の投資が人気でしたが、日々のキャッシュがプラスであれば、フルローン、更には諸費用すら借入で賄うオーバーローンが組むことにより理論上では、『元手がなくても永遠にキャッシュが増え続けてあっという間に大金持ち』です。

そんな投資モデルがもてはやされ、『キャッシュフローがプラス』の物件を手に入れることが、お金持ちへの近道という、夢の始まりです。

1億円だろうが、2億円だろうが、それを購入するのに『自腹』を切らずに購入できれば、お金は増える一方です。

現在の銀行の融資姿勢ではオーバーローンなんてとても応じてくれる状況ではないようですが、そんなことが実現可能な時期もあったようです。

但し、銀行もどんな人にもどんな物件に対してもこのようなローンを組ませてくれるわけではありません。

従いましていかにして銀行から融資を実行してもらえる状況を作るかも『キャッシュフローの出る物件を購入すること』とともに不動産投資のスキルとして重要視されました。

それまで『投資』とは運用するに足るだけの資金的余裕がある人がやるもの、という意識から変化があった時ではないかと思います。


ローンを利用した不動産投資モデル

多額にローンを組むということはローンの返済額も大きくなるということの裏返しです。

月々の返済額を減らすにはローンの返済期間をできるだけ長期化させることが一つの方法ではありますが、返済期間を延ばすにも限界があります。

大抵は購入する物件の建物の減価償却の残期間に基づいたある一定の期間が限度となります。

返済額が大きい投資案件で日々のキャッシュフローをプラスにするためには購入金額と比較して有利な家賃収入が見込める物件を購入することが重要になります。

そのため地方の比較的利回りの高い物件が注目されたりもしました。

実際に『融資が実行され最初の物件購入から得たキャッシュを貯めて次の物件を早期に購入する』という投資モデルで物件を増やしていったサラリーマン投資家も出現して、もてはやされたようです。


不動産投資におけるキャッシュフロー変動要因

しかしキャッシュフローは日々刻々と変化していきます。

不動産投資、言い換えると不動産賃貸業のキャッシュフローは、次の様な要素から影響を受けます。

(1)家賃の下落

家賃収入がキャッシュを生む元となりますが、当初の思惑と異なり、下落するということがあります。

もちろん逆に当初よりも家賃が上がるということもないわけではありませんが現在の日本の状況では建物の老朽化とともに下落するのが普通です。

当然ですが少額の自己資金で次々に不動産を手に入れての不動産投資の場合、家賃が下落してもキャッシュがプラスであることを維持できる見込みが必要です。

(2)金利の上昇

ローンの返済額はローン返済期間の他に金利がその決定要素となります。

返済が終了するまで借入当初の金利が適用される『固定金利』なら変動要素とはなりませんが、よりキャッシュが出ることを望み金利の低い『変動金利』を選択すればそれが不確定要素となり金利の相場が上昇すれば返済額が上昇しキャッシュフローを圧迫することになります。

(3)空室率の上昇

1部屋単位で見た場合、家賃の下落は収入の「減少」で済みますが空室になった場合はいきなり収入が『ゼロになる』点でよりキャッシュフローの悪化に直結します。

通常キャッシュフローの見込みを検討する場合、どの程度の空室率になるかをあらかじめ見込んで計算します。

しかしその見込み以上に空室率が悪化すればキャッシュフローを圧迫していきます。

現在の賃貸市場は二極分化の傾向があるようで利回り重視で購入した地方物件は苦戦を強いられているようです。

(4)滞納

『収入が無い』という点では空室と同様ですが、空室の場合は家賃を下げて新しい入居者を確保して『収入が無い』状況から『当初見込みより少ないながらも収入がある』状況を作ることはできますが、滞納の場合はそれも難しくなります。

更に空室の無収入には税金はかかりませんが『とりっぱぐれ』の滞納家賃には税金もかかります

無税にするには『貸し倒れ』を証明する必要がありそんなに簡単ではありません。

そのため『不良入居者』を掴まないという賃貸管理のノウハウも重要になってきます。

(5)税金

不動産賃貸経営がうまくいっている方が口を揃えて言うのが税金の問題です。

儲かっていれば、儲かっていたで税金を多額に払わなくてはならないという問題に直面します。

税金はキャッシュの動きとは無関係ですのでキャッシュフローが変わらない状況で税金だけが上昇していけば結果としてトータルのキャッシュフローは税金の増額分だけ悪化することになります。

税金は「所得金額」と「税率」が大きな決定要素ですが、規模が大きくなれば所得金額が増加します。

累進課税である所得税は単純に所得の増加に比例して増加するわけではありません。

特にサラリーマン投資家の様に家賃収入以外の収入がある方は税率が上昇して思った以上の税負担に計画が狂ってしまうということもあるようです。

大抵は所得減少要素である減価償却費と支払利息は年々減少していきます。

減価償却費は建物の耐用年数が長く定額法を採用していれば減少するのは耐用年数を過ぎてからですのですぐに所得増加要因にはなりませんが、多額の付帯設備を定率法で減価償却するようなケースでは経年ごとに所得増加要因になります。

また支払利息は年々減少します。

元利均等の返済をしていると流出するキャッシュの金額が変わらなくても、支払利息部分が減少するので放っておいても所得が増加するという宿命があります。


ざっとあげてもこんなことがキャッシュフローに影響します。


事業構造が単純だからと言って将来予測まで単純というわけではない

通常の事業と比べると変動要素は少ない不動産賃貸業ではありますが、将来どうなるかを予想するという点では決して簡単なことではないように思われます。

しかもフルローン、オーバーローンと言ったハイレバレッジの投資においては上振れするのも下振れするのも振れ幅が大きくなりますので一度悪化すると取り戻すのにも馬力を必要とします。

潤沢な手元資金が溜まる前に当初見込みのキャッシュが得られず最悪の場合、キャッシュが日々アウト、つまりは手持ちの資金を投入しないと返済資金が賄えないような状況になると一気に行き詰ってしまします。

この様なことからキャッシュフローはその投資が儲かっているかどうかよりも切実にその運営に直結することになります。

当たり前ですが購入当初だけではなく運用後の状況もシミュレーションした上で購入の可否判断をしていることと思います。

先述の通り、不動産賃貸業は変動要素、事業のパラメータは他の事業よりも少ないと思っています。

ただ裏を返せば満室で希望家賃が取れている状況での収入が収入の最大値であり予想外の大爆発みたいなことは起こり得ません。

もちろん部屋をリニューアルしたり、リフォームしたりして、収入の増加を図るということもできますが、それも爆発的な増加というよりは、『下落を抑える』という要素の方が強いと思います。

ということは、マイナス要素をどのくらい見込んでいかにしてマイナス要素を事前に最小化する施策を打てるかが不動産賃貸業では重要ではないでしょうか?

次の記事はコチラ

〔04〕
不動産投資におけるキャッシュフローについて考えてみた その2

『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。

ワンルームマンション投資のキャッシュフロー

不動産投資で重要な『指標』であるキャッシュフロー。
不動産投資は事業性が強い投資です。
このことに着目して区分所有マンションのキャッシュフローを題材にして『どの様に』実績や予測をしていくのかを解説します。
電卓と書類とペン

マンション投資の儲けとは一体どのように計算されるのでしょう…
投資指南本では、ほとんどが「キャッシュフロー」が呪文のように繰り返されます。
支払い側、キャッシュアウトフローの忘れてならない重要な点として「購入時のキャッシュアウトフロー」が挙げられます。
不動産投資もインカムゲインを重視した投資と考えると株式投資よりもはるかに事業性、事業運営の要素が強いということだと思います。その場合、重要なポイントが「キャッシュフロー」ということになるかと思います。
中古区分マンションの購入を例にとり、購入後のキャッシュフローについて検証してみました。
今回はその『不動産投資の成否』という観点からキャッシュフローを考えてみたいと思います。
不動産投資の場合、月々とか年間とかのお金の流れを捉えます。例を挙げて考えてみましょう。
不動産投資で比較的「管理すべき数字」が単純な『区分所有マンション』の一室を購入した場合を例にとってみます。
今回は、翌年のキャッシュフローがどうなるか…、更に具体例で説明したいと思います。
サラリーマンが不動産投資をした場合の不動産所得とその税金について中古区分マンションを購入したケースで考えてみましょう。
前回はサラリーマンが不動産投資をした場合の初年度の不動産所得とその税金について、中古区分マンションを購入したケースで考えてみました。
今回は次年度以降について考えてみます。
中古区分マンションを購入した場合の取得価額を求めるのに購入代価を土地と建物に分ける必要があります。契約でそれぞれの代金が分けられている場合には問題ありませんが、代金が土地建物合算された場合には『按分する』必要があります。どうやってするのでしょうか?
「サラリーマンが不動産投資をした」という前提で個人の不動産所得計算に必要な減価償却費を計上するにあたってどうやって計算すればいいのかをお伝えします。





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◆ 首都圏に中古のワンルームマンションを購入して不動産投資の門を叩いた私。
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